雨の日と月曜日は
かんな




目を覚ました
しとしとと音がしている
しずかな朝の、
雨音の音階を調律するひとがいる
誰だ。
調律師は物憂げな顔で指先を動かす
ふと音がなめらかに
なったかと思うと
その指先は
一粒のカプセルを胃に流し込んだ


少しだけ調律師の話をしたい
彼は田舎の生まれであったが
いわゆる地主の跡取りというものであった
しかし至って本人にその自覚はなく
好きな趣味を満喫して育ちながら
その延長としてピアノに興味を持ち
次男坊に遺産など譲るという宣言を
そうそうに打ち出すと
調律の勉強のできる学校へと進んだ


世界は雨、
灰色の雲が一面覆い尽くす
憂うつを払い飛ばす青空に
居場所を与えないように
今日は月曜日
曜日は食べられて消えていく
誰が。
月曜は美味しくないのよと
曜日食らいの彼女は言う


少々長く曜日食らいの話をする
彼女がお腹の中にいるとき
彼女の母親はうつ病にかかった
パニックを起こした母親は
家族が気づかぬ内に家を抜け出し
新幹線など乗り継ぎ
遠方の友人宅まで行ったと言うから驚きだ
母親はすぐさま戻され大学病院に入院した
そこで生まれたのが彼女だ
彼女が幼い頃は母親はまだ病床にあり
不安定に入退院を繰り返していた
祖父母と関わることが多かったが
衝突することも多く
上手くは言えないが
彼女は父親や母親の愛情を欲していた
結果として高校生くらいで
彼女は摂食障害となってしまう
毎日が苦しく
曜日を食らい続けることになる


ある雨の日の月曜日
調律師の彼がいつものように
少し鈍った音階を直していると
良い音ですね。
そう言って曜日食らいの彼女が
後ろを通り過ぎた
今回の月曜は少し甘そうです。
と付け加えると
不思議そうにしていたが
そうですか。もう少し綺麗にしますね。
と調律師の彼は笑顔で返した。


誰も彼もしあわせになる必要のない月曜日
今日はうつくしい音色を奏でる雨に濡れる




自由詩 雨の日と月曜日は Copyright かんな 2018-03-21 12:08:34縦
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