桜空
葉山美玖

この街の中心部の空はとても狭い。高層マンシ
ョンに遮られた霞む空。そんな薄青の雲の下で
生きている。時折くしゃみをしながら。これは
多分排気ガスで澱んだ空気のせいじゃない。私
自身の鼻腔が、肩凝りでとても緊張しているか
ら。ストレス性の花粉症。

台所に立ってピーマンを刻む。ジャーガルちぐ
さと言う、大きな肉厚のをこつこつ切る。レン
ジでチンしておかかと胡麻油とお醤油とゆず胡
椒で和える。こうすると、無限にご飯が進むの
だ。と、ネットのどこかに書いてあったレシピ
をまた作る。そう、無限ピーマン。

やさしいひとはこわくて、あったかいひとはお
っかなくて。でも人間味のあるひとに甘えたく
て。そんな自分はとてもとても弱虫だ。でも、
強い人の上にも弱い人の上にもお金のある人の
上にもない人の上にも、公平に桜の花びらは咲
く。無限に咲く。

あの人に、やさしくてあったかくて少しずるい
人に、無限ピーマンを食べて欲しい。この街に
は落ち着いたベンチのある公園がもうあまりな
いから、駅ビルの外のフリースペースでお弁当
を食べよう。まるで錯乱したかのように散る花
びらの下で。


自由詩 桜空 Copyright 葉山美玖 2018-03-20 21:27:25縦
notebook Home 戻る