ほつれ
佐白光


 白いシャツには必ず着ていた

 濃紺のVのセーター

 キリッとしまった感じが好きでした

 気づいたのは時計を見た時

 袖口から一本の糸がほつれでている

 この気持ちの感覚 動揺 違和感はなんだ

 次の日 ほつれ出た糸は2本となり3本となり

 腕の傷口が広がるように胸のなかにも広がる

 一本のほつれで古着のように感じる

 この小さな出来事がゆるせない自分に驚く

 こんな潔癖さを持つのか

 知らない自分を見てしまった自分が

 ほつれていく

 

 


自由詩 ほつれ Copyright 佐白光 2018-03-18 23:58:06
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