空を見上げて
坂本瞳子

見上げた空は
ただくすんでいて
希望の光とやらの
筋さえも見えず
暖かな陽射しの兆しも
白い月の欠片も
一点の曇りも明るみも
なにもなく
ただそこに広がっていた

そんな空をただただ見上げて
首が後方へともげそうになって
目眩がして
痛みを覚え
仰向けになるように
倒れてしまった
溜息も漏れることなく
背中を強く地面に打ち付けて
それでもまだ
ただ空を見上げて

両腕を伸ばしてみたけれど
とても空には届きそうになくて
指の先まであらん限りの力を漲らせて
伸ばしてはみたのだけれど
もうこれいじょうはできなくて
でも諦めたくなくて
また目眩がしそうなときに

雨粒が空から堕ちて来た
一粒
ぽたりと
また一粒
ぼったりと
続けて何粒も
ぽたぽたぽったり
ザーザー雨が降って来た
そこで動かずに
大の字を書いたまま
仰向けになったまま
大きな雨に打たれていよう

まだもう少し
空を見上げていたいから


自由詩 空を見上げて Copyright 坂本瞳子 2018-03-18 00:21:16
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