径に 残る
木立 悟





銀河の高さの
白い霧
夜に架かり
動かない


左の肉の寒さが目覚め
右より細く震える時
月は余計に そして速く
見るものの方へと割れはじめる


光に光をこぼしながら
花や羽が手を吸いにくる
肘に向かって歌を植え
陰へ陰へ飛び去ってゆく


馳せる 駆ける
けだものは動く
言葉を踏まず 笑みを踏まず
ただ空を蹴り 空を裂く


暗い径へこぼれる音
壁から枝から
空の水草に立つものから
小さく とめどなく
明るく


透明な時計の棺桶に
雨と花が降っている
蝶の群れ 茎の群れ
舌を出した子の群れを
けだものはひとり過ぎてゆく



























自由詩 径に 残る Copyright 木立 悟 2018-03-17 17:30:31
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