ごっこ
もとこ

コーヒーは苦かった
ビールも苦かった
君のも苦かった
みんな我慢して飲んだ
だって背伸びをしないと
水面に浮上できなかったから

細い夕陽が差し込む
放課後の体育倉庫
湿ったマットの上で聴いた
調子の狂ったトロイメライ
終わったしまうと正直に
冷たくなる君の未熟さが
胸の奥の小鳥を刺激して
激しく羽ばたかせる

逃げられたら
また空っぽになるから
誰かに見つかったみたいに
必死で我が身を抱きしめる
「どうしたの?」と問いかける
君の心配顔がうれしい
たとえ現実には何ひとつ
分かり合えていないとしても


自由詩 ごっこ Copyright もとこ 2018-03-17 13:50:54
notebook Home 戻る