ほころぶほころび
坂本瞳子

ほころぶとは
綻ぶと書いて
堪えきれずに涙が流れる
ことを言うらしい

だのに
ほころびるとは
同じく綻びると書いて
蕾などの固く閉じていたものが少し開くだとか
固い表情が和らいで笑顔になる
ことを言うらしい
感情や秘密などが抑えきれずに外へ現れる
ことでもあるらしい

縫い目や綴じ目が解けることは綻ぶと言い
縫い糸が切れて合せ目が開くことは綻びると言う

さっきまで
こらえきれず
ほころんでいたけれど
一張羅の裾ががひどく傷んで
ほころんでいたことに気づき
さらに袖口の縁までがほころびて
パックリと開いているそのさまに
自らのことながら
なんとも間が抜けたことよと
思わず口元がほころんでしまった

なんてこともあるかもしれない

面白くもないけれど


自由詩 ほころぶほころび Copyright 坂本瞳子 2018-03-14 00:46:16
notebook Home 戻る