更地
一輪車

更地

アーケード商店街に
いつのまにか
広い空地ができていた
真っ白な便器がひとつ
骨のように
砂利の広場に
転がっている
離れたところに
ステンレス流し台が
用済みとばかり
横倒しになって
シンクの凹みが光を帯び
銃口のようにギラギラ
まぶしい
露わになった
公設市場の背中は
まるで油絵のようだ
濃淡のある黄土色で
とろどころ
ペィンテングナイフで
青灰色を
こすったような
粗い厚みがある
そこに
排風孔が口を開き
黒い油を滲ませている
空き地を挟む
左右の民家は
塗料の剥がれたトタンに
水の流れが
雨の化石のような
褐色の模様をつけている
ごそっと、
まるごと
もっていかれたのは
古風な門構えの
和菓子屋だ
倒産して数年
静かに眠っていたのに
さっと消えて
さわさわと
髪のような風が立っている
フェンスを越え
陽がさす壁の前に立って
記念撮影すると
むこうから
白黒の鉄道引込み線が
ゴトンと現れる









自由詩 更地 Copyright 一輪車 2018-03-13 07:00:24縦
notebook Home 戻る  過去 未来