cat nap
竜門勇気


地獄行きの鈍行に乗って
四月の待つ駅に向かった
緑色の鋼の橋桁
猫が歩くだけの昼下がり

血みどろの口論なんて
何年ぶりだったろーかよ
四月が僕の電話を鳴らす頃
列車の窓から街を見てた

壁だらけの部屋の中
あなたはどこにもいけない
羽がないから伸ばせない
そんなもんなくてよかったよ

甘くて乾いた臭いがどっかでしてる
見せかけの祈りだけ叶っていく

気持ちのいい昼下がり
その気持ちの正体を検索
一人づつ吸い込まれる穴
順番なんてのもあるときゃあるらしい

なくした歯車はどこ行ったんだ
最後になんて言ったんだ
それだけの論理で
列車は窓を持っている

君は欲しがるものなんて持っちゃねー
君も欲しがるなんて思っちゃねー
欠けたものだけ足りないのか?
いらないものだけ捨てりゃいいのか?

甘く乾いた臭いが救いになって
見えてた祈りは捨てられた

甘くて汚れた白さが融けて
透き通る祈りが僕から聞こえる

君には大事なものなんていらねー
君には大事なんてものはねー
君は大事なんて感じない
その感じなさなんか大事じゃない

甘い香りは嘘だ
口に含んでいつもがっかりしてきた
そうだな?
祈りはまやかしだ
天を仰いで振り向いて苦痛の中に帰る
そうだったよな?

欲しがって手に入れたものが
助けてくれたことなんて一度もない
いつも頼れるのは
最初にあったものだけ
大事でもなんでもないものが
優しく嘘をついてくれる



自由詩 cat nap Copyright 竜門勇気 2018-03-12 23:25:48
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