残されたもの、ひとり。
秋葉竹

雨上がりの夜空に吹く風は、
どれほど孤独で寂しくなっても、
けっしてお前なんかは呼ばないだろう。

ってね。
なら、
なぜ時は止まらないのだろう?



嘘みたい、
このままなんて生きられないよ。
あなたをなくして、
明日から私は何を見ればいい?
醜い星を見ればいい?
冷たい太陽を見ればいい?
見えない月を見ればいい?

いっそこの目をえぐり取り、
月の代わりに夜空に浮かばせて、
空から世界を見ればいい。

あなたがいないと私はダメだ。

ジンライムのような星屑に
騙されたあげたく
泣いたけど、
泣いて、泣いて、泣きまくりましたけど、
無理だといったら、無理だよ。

あなたがいないと私はダメだ。

ほかのひととは、もとから感度が合わないよ。

雨上がりの夜空に歌った彼は
奇跡の人となったけど、
多分あの世で、鬼を従え、鬼を集って、
歌を歌っている事だろう、
『イエー!って言えー』とか言いながら。

あなたがいないと私はダメだ。

生きてる意味もないし、
死に行く真の理由もないし、
暗い海を見に行かなければだめだ。

見に行ってあなたに再会しなければダメだ。

とにかくあなたにもう一度
会わなければダメだ、ダメなんだ。

大阪城ホールであのコンサートを見たとき、
2人して涙を流して喜んだね、
腕振り上げて
イエイ!って言いまくったよね。

み〜んな、逝っちゃうもんだから、
私はひとりで生きていくさ。
ただ、
ひとりでも、一匹の「のけもの」でも、
私は『けっしてひとりじゃない歌』を聴いて、
あなたに逢いに行くことだけを希望として、
生き永らえて、いくさ。

いつでも、気づけば、
(忘れなければ、)
イエイ!って、いいながら、ね?

みんなにこう強要しながらね?

『イエイ!って、言えい!』って、
……笑って…………!







自由詩 残されたもの、ひとり。 Copyright 秋葉竹 2018-03-11 00:57:24
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