困ります
うめバア

困るんです

私の夢に現れては
困るんです
迷惑です

ええ、そりゃあ昔は、好きでした
あなたのことが、好きで、好きで
たまらなかった
そういう時期もあったとさ

お願いですから、下世話な会話にはなさらないで絶対ダメ

マルデなかったことですよ
好きだった? とか
チャンチャラおかしいわけですよ
普段、あなたのことを思い出すなんて
滅多にないし、ええ、ありませんとも
悲しいけれど、本当です

洗濯物を干す瞬間、ふっと・・・
とかないしそんなの
また下品なこと考えているでしょう、あなた

アドレスとかメアドとか消え失せてますし
いえ、最初の、一等最初のころは
手紙、紙の、あの手紙でした
切手が足りず
あなたの母上が不足金額を郵便局まで払いに行った

いえ、ですから懐かしんでなんていませんったら
今はね、若い人なんて、ひゅっとLINEでね
飛ばしちゃうんでしょうけど
そりゃね、「好き」の2文字を伝えるために
その2文字だけは使わずに
いろいろしました、知りもしない音楽とか小説とか
ええ、確かに、それで随分と造詣が深くなりましたよ
でもね、それはそれです

だからね、甘美な思い出、さらに甘ったるくして
思い出が美しいことに乗じて調子にのって
ヘラヘラヘラヘラ
若いときの格好のままで
時には年を取ってみたりして
私の夢になんて
二度と現れないでほしいんです
25年、いやもうじき30年です

あなたのことは忘れたんだ
でも
あの春の桜
きれいだったな




自由詩 困ります Copyright うめバア 2018-03-09 09:30:09
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