ひとつ 残る
木立 悟






雪の下から現れた枯れ葉が
鉱に
戻れぬ場所への標にかがやき
夢の行方をささやいている


雪が止み
誰もいなくなり
灯は黙り 径は白く
径は 明るく


川の両岸に
思い出が立ち並び
水面には何も映らず
白く 明るく


空の鏡に径はつづき
さらにさらに消えかける
荒れた光は痛くあたたかく
見えぬほど激しく降りそそぐ


遠い白さが遠去かり
反射は反射し 高く飛び去る
握りしめていた手のなかに
いつのまにか 言葉がある


降っては消える花に触れる手
幾度も互いを抱き寄せる子ら
空に近いほうから崩れる思い出
ひとつだけ白くつづいてゆく径



























自由詩 ひとつ 残る Copyright 木立 悟 2018-03-08 22:13:12
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