意味解らないけれど
こたきひろし

子供のころ
川原で投げた水切りの石が
ついさっき
彼女の顔をギリギリかすめて飛んでいった

意味解らない
夕方の駅でホームで電車を待っていたのに
時間の経過を無視して
こんな場所まで飛んで来るなんて

あの時父親がいっしょに遊んでくれていたのに
いつの間にか所在が解らなくなって
翌日下流で水死体で発見された

意味解らない
彼女は父親を置き去りにして家に帰ってしまったから
飛んできた石はその報復かも知れない

この世界には至るところに
意味解らない事が起きるから気にする必要ないかも知れないけれど

子供ころ
川原で投げた水切りの石がついさっき
彼女の顔をギリギリかすめて飛んでいった

頬が切れて流れたわずかな血液と痛みは
少女の日の初潮の訪れに似ていたかも
知れなかった



自由詩 意味解らないけれど Copyright こたきひろし 2018-03-04 09:10:58
notebook Home 戻る  過去 未来