永遠の人
ヒヤシンス


 ためらいがちな貴方の横顔は絵画の中に生きている。 
 私は貴方の頬に色を乗せ、静かに閉じられた唇に紅を差す。
 首元に光るネックレスは共に旅したあの土地の思い出。
 貴方はこの絵を見て笑ってくれるだろうか。

 貴方の優しい微笑はあの土地を思い起こさせる。
 緑の匂いにむせ返る初夏の日。
 私ら二人だけの世界。
 瞳は輝き、そばにいる温もりにお互いの無言も美しい。

 旧道沿いのベーカリーで大好きなパンを買い、
 二人で頬張った後のおちょぼ口。
 休日返上で開いている喫茶店で仄かに香るアールグレイ。

 鳥達が夏の協奏曲を奏でる日々。
 過ぎてゆく時の流れをこの絵画に刻み込む。
 そして貴方は私の永遠になったのだ。
 


自由詩 永遠の人 Copyright ヒヤシンス 2018-03-03 04:19:17
notebook Home 戻る  過去 未来