誰もおまえを待っていない
花形新次

帰宅時間帯の駅で
もの凄いスピードで
走っているバカがいる
もしぶつかりでもしようものなら
有無を言わさず
殴り倒す用意をしているが
なかなかぶつかってくれない

しかし
そんなに必死こいて
こいつは何処に行こうとしているんだ?
何がこいつを走らせるのか?

すれ違い様に見た顔は
頭悪そうでうだつの上がらない奴
そのものだ

おまえが
「待っている人のもとへ急ぐんだ!」
と思っているとしたら
それは
おまえの思い込みだ

誰もおまえを
待ってやしない

待ってやしないんだよ

一生帰って来なくても
誰も困らない
下手すりゃ
誰も気付かない

だから
急ぐ必要はないんだよ

走る必要はないんだよ





自由詩 誰もおまえを待っていない Copyright 花形新次 2018-03-02 19:57:28
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