一日
鷲田

世界の感情は欠伸で眼を覚ます
光りが差し込む窓の明かり
朝は鈍感に風邪を引いている
透明な色をした黄ばんだ細胞
包み込む鉄筋を纏った人の吐息

増殖する満員電車の人混みに
平和な雑踏は天高く笑いたい欲望にかられる
なぜなら
永遠に見えたベッドの上の物語は寂しげで
物音しない音色の暗闇は
いつも脳に伝わらなかったから

東京の雑踏の中
神経細胞が孤独に一つ弾ける
這いつくばる土の色
地平線が見えない喧騒が
降りしきる雨の沈黙を押し殺す

街の音はやがて無口になる
私に話す意志力はあったのだろうか
脆弱な足跡が
家に続く道路に一つ落ちている


自由詩 一日 Copyright 鷲田 2018-02-27 20:23:24縦
notebook Home 戻る  過去 未来