遠回り
次代作吾

なにかあるような気がして
遠くへ遠くへ
人の話もきかず
自分自身も、見ずに
なにかあるような気がして
遠くへ遠くへ
遠回りなんかごめんである
まっぴらである
なにかがあるような気がして
逆さまの重力を感じながら
遠くへ
もっと遠くへ行こうとして
ぜんぶ脱ぎすてながら
膝を抱えて
遠くへもっと遠くへ
僕はおばけだよ
ひゃくねんまえに
死んだのさ
という気持ちで
遠くへ遠くへ
なにかがあるような気がして
進んだ
進んでるような気がして
でもなにもなかった
だからもっと遠くへ行かなければいけない
だからもっともっと遠くへ
遠く
遠く
ここまで来た
と思って振り返ったら
なにも
なかった
ほんとうになにもなかったんだ。


自由詩 遠回り Copyright 次代作吾 2018-02-10 00:34:47
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