夜へ 喉へ
木立 悟





緑の宙に貼り付いた羽
暗い曇をくぐる曇
二番目の指で涙をこすり
終わらぬ宴の後を追う


くちびるとねじれ
溶け合う朝と みずいろの水
ひるがえる ひるがえる
火と灰と声


誰もいない交差点
流れる泥に器をひたし
満ちては捨て満ちては捨て
午後の光を目に噛みしめる


六角から八角へ
壁の内のわずかな偏移
光はすべてをさらけ出すのに
心やましいものにはひとつに見える


どこまで悲しみ 赦せばいいのか
曇の上でさえ戦いは尽きず
羽は堕ちて 堕ちつづけ
抱きあう子らのかたちにつもる


白い大陸に立つ紅い人形
涙と共に
色は流れ 薄まってゆき
やがて霞み 見えなくなる


雨を終わらせる雨がすぎ
夜を喰う夜の喉奥に
泳ぎ疲れた双つの瞳
羽に花をさし出している

























自由詩 夜へ 喉へ Copyright 木立 悟 2018-02-04 19:06:59縦
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