ふるる

私の胸にあいている穴に
風が吹き抜けて鳴る
すると私の奥の嵐が
またあなたをさらおうと口をあけ狂った舌を出す

今会いに来てくれないなら
すべての息の根を止めてやる
狂言
とはよく言ったもの

胸板にいくら額をこすりてけて
塩辛いものを落としても
その奥には入れない
お互い胸を開いて
見せたら
私の嵐はあなたを放り投げたり
損なったりするだろう
あなたの暗がりは私を惑わせたり
孤独にしたりするだろう

寒いわけでもないのに
私たちは胸元をしっかりと閉じて会い
暖かいわけでもないのに
私の胸元だけが緩んで
別れる

あなたの胸にあいている穴にも
風が吹き抜けて
鳴る




自由詩Copyright ふるる 2018-02-01 20:44:33
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