のりたま(みんなのうた)
虹村 凌

壁に残る、弾丸の 痕
逮捕された野郎共 は今どこに居るのか

寝ても覚めても悪夢は続くが
それを見ている本人は どうでもいいらしい
心臓が怯えたように出す
そうそれはまるでアイドリングのような
胸くそ悪い世界に対する怒り


コンクリート
映画
狂気の沙汰だろうがよ
イカれて やが  る




親父は俺にヒトを殺しちゃいけない理由を教えてくれなかったが俺は何となくわかるぜ
幾ら悪態ついたって世界はちっとも変わりやしねぇ
それどころか益々その態度を硬化させやがるんだ
間も無く俺達は言いたい事すら言えなくなるかもしれない
それこそオモチャの兵隊みたいに撃ち殺されて崩れ落ちる世界になるかも知れない
少しづつ意志が小間切れにされてボロボロになってゆく世界が待っているのか



水面に突き刺さる眼鏡
珈琲に浮かぶ月
雲より高い煙草の煙
狂気のしゃぼん玉



親父は俺に人間が何故平等じゃないのか教えてくれなかったが俺は知っているつもりだ
そして馬車馬の様に働く親父を俺はそのまま殺してしまうのだ


目を突き抜ける体液による視姦
狂った朝の光のような匂い
足に絡み付く石鹸の泡
アップルパイの中の指
膣の中にあるマツタケ
腰にぶら下がった安心材料
射精せばそれで満足
身体はくれてやる。でも心だけはお前にはやれねぇよ。


柔らかく切り裂く灰
濡れた電話機
乾いたティッシュ
切り裂く



誰かに溺れたい衝動もハァトの位置も俺の親父は教えてくれなかったが俺は知ってる
イカサマはバレなきゃイカサマでも何でもないし瞞された野郎が悪い
強烈に突き刺さる湿った床の上に転がる裸体の女
愛は要らない番いの瞬間に意識は地球を彷徨っているとしたら太陽も見えない



ゴッホに花束
老いぼれのブルース






寒い







寒い





寒い







寒い






寒い






寒い






寒い









うずくまる


自由詩 のりたま(みんなのうた) Copyright 虹村 凌 2005-03-17 17:40:04
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「うにいくら丼」