ひとつ 指して
木立 悟





光に針をかざし
動かぬものを 動かそうとする
器に満ちた水
浪に囲まれた凪
動かそうとする


熱を感じること
熱を奪うこと
逃げ去ること
偽ること


緑の熱に
粉は落ちる
かじかんだ指
雪片の指揮者


仰向けの時計をすぎる曇
身体が溶け去り
芯だけが残り
なお燃えつづけるものに照らされている


夜の空 氷の花
枝のはざまの星
霧にひらく片目
地平の稜線を追う


音は消え
細い明かり
覆い来るもの
脱ぎ去るひとり


ひとつの指にさされ
空は鉛に沸き立ちはじめる
夜を未明を貫く火種
昇り照らし 照らしつづける






















自由詩 ひとつ 指して Copyright 木立 悟 2018-01-28 19:50:17
notebook Home 戻る