野良
為平 澪

ご主人様を探す野良、愛に渇いてしまう野良
赤い首輪も良いけれど、首根っこを強く掴んで欲しい
目を離す隙もないほど、息苦しいくらいの視線が欲しい
でも、ご主人様は優しくて、野良がご主人様を喰ってしまう
どんな主人も野良の「主人」になれなくて
愛に渇いてしまう野良、ご主人様を探す野良
           ※
聞き耳立てて、口コミ、垂れ込み、しゃがみ込み、
啼いて叫んで日が暮れて 名前を呼んでと啼いた日に
野良につける名はないと 家にあげてくれた人
男は野良の裏と表を使い分け、自由気ままに弄び 
首に見えない赤い紐、上手に結んでくれた人
           ※
((野良よ、野良よ、どこにいる?
やがて月日は反転し、主人は野良がいなけりゃ、息出来ぬ
ご主人様は泣き続け、野良は主人をかわいがる
           ※
野良よ、野良よ、と何度でも 幾度も何時でも呼ばれる程に
野良は主人の顔をして 主人に猫の名を付ける


自由詩 野良 Copyright 為平 澪 2018-01-23 22:42:12
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