ひとつ みちびき
木立 悟






死ななくてもよかったたましいに向けて
打ち鳴らされる打ち鳴らされる鉱と金属
棄てられては増す つばさ けだもの


重なる紙のはざまの光
紙の上に浮かぶ珠
ひとつ持ち上げ ひとつ潤す


常に濡れる手首
常に濡れる顎
内を外を流れるかたち


とうに終わっているのに
さらに終わろうとする日を
過ぎては帰らない光


上にしか行かない階段に
無数の釘と木箱が散らばり
まだ薄明かりのある下方から
誰かが誰かを呼びつづけている


絵の具のにおいのお湯を呑み干し
やっと見えてくる未来には
人のものではないにぎやかな地


冬の夜のこがね
あてどなく よるべない幸福
灯の無い径のつづき
雪が雪を歩む音


雨とともに降る牙の光
水たまりに起つ灰の城
迷う手をひとつ導いてゆく


















自由詩 ひとつ みちびき Copyright 木立 悟 2018-01-17 09:10:57縦
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