クローゼット
ふるる

君と僕
孤独に震えるクローゼット
明けはなして見ている朝日の階段のむこうは

夜で
夜って言ったら目を閉じるゲーム
サイコロ転がして3マスすすんだ先で転ぶゲーム
うつぶせで動かない君を
抱き
起こし
ふれ
から
みあう
ツタの緑の模様のドレスの裾はガーデン
星型のしろい花の群れ咲く

クローゼットはひどくぎゅうづめで
囲まれていてでも
扉はないの
誰でも入れるし
出ていけるの
こんにちは、さよなら、さよなら、
しろい花の花束をどうぞ

もう一度サイコロ転がしてまた
振り出しに戻る

君と僕
孤独に震えるクローゼット
抱き合いながら見ている朝日のベール
のびるツタ、緑の模様のベッドはさながらエデン
サルスベリのちぢれたピンク
木肌はすべすべ
タイム セージ ローリエ
すてきな匂い

庭園で繰り広げられたこのゲーム
アンズの木に毛虫が恐ろしいほどうごめいた
ほどはこわくなかった
ふたりで
毛虫はたき火に放り込んで
大丈夫だった
もう夜って言っても目は閉じないわ

何度でもサイコロふりなおすよ
好きな目の数が出るまで
3がいい
君は僕の開かない片目にキスを



自由詩 クローゼット Copyright ふるる 2018-01-01 16:44:09縦
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