明日も働く者のための麦酒
のらさんきち

プシュッ!
プルタブを引く音が一日に楔を打つ
ネクタイを少しだけ緩めた
午後十一時
泡立つ黄金色の液体を流し込んだ
喉が苦味で灼ける
祝祭とは程遠い
労働の味

それはワインであってはならない
擦り減るような一日の応急処置
それは燗酒であってはならない
闘いはまだ終わっていないのだ
それはウイスキーであってはならない
私は身一つで日々を生きる者

ほろ苦い血が体中を巡り
私の脳を問いに沈めていく
私はよく努めただろうか
私はよく務めただろうか
明日はよりよく生きられるだろうか

ひと缶の中身はやがて
私の体に丸ごと移し替えられて
ままにならない明日を予言する
働くとは、そういうことだよと
微かな甘みに追記して

今日も一日、お疲れさま


自由詩 明日も働く者のための麦酒 Copyright のらさんきち 2017-12-04 23:41:28
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