題名なんでしょう
◇レキ

(1)
思うほどに儚い
単純な強情さで
だからこそとてもとても
大切にしたいのに
光のようにわすれがちになってしまう
哀しみそのもの


(2)
自身の汚れを小さく見せて
それから相手も見せてくれる喜びに耐えられず
また、汚れを小さく見せて
それからまた、相手もみせてくれる喜びにって
最初から終りまでそうなってしまうこと

(3)
どうにもならないなら
殺してしまえって
どうにもならないから
愛してしまえ
どうにもならないなら
行きつくところ
まで行って
それから考えなくちゃいけないこと





(4)
極めて退屈でつまらなくてそのうえ維持するのが大変だけれど
何より自分の心の地位を保ち、安心を与えてくれるもの

(5)
他人の訪問を許せるように
入っても苦しくないように
自分を守るために
育てるべき本心を守る空洞




(6)
遠くに見る大きな幸せを
思えることの美しさと
不甲斐ない自分をどうにもできなくて
サラサラ心が風にさらわれる事

(7)
外から軋轢がやってくるから
呻いて転んでまた走り
それでも心がむざむざに殺されて
でも生きている事

(8)
苦しみが過ぎ
心の穴の治癒
病み上がりのぼんやりした心のまま
なんだか全てを凌駕した気になって
無意味にふらふら歩く事





(9)
すり減った
心の隙間の真空を
風がぎりぎり通り過ぎる音

(10)
悲しみに触れてみるけど
全然痛くも痒くもなくて
楽しみを笑ってみるけど
心がマジ真顔
無茶苦茶に何にもなくて
足元の土でも貪り食ってやろうか

(11)
陽を浴びて
本当はきちんと立ったつもりが
そのままべちゃりと溶けてしまった草

(12)
充血した大きな目で横をにらんで
小さく舌打ちするような
いくら自分を殴ってみても
全く減らない五月蠅い真空

(13)
暖簾に腕押し
糠に釘 とりあえず
水面叩いて遊んでる
楽しくもないのに楽しんでいる
自分

(14)
脳から幾度も
春風たゆたう楽しみを
ただ黙って心地よさげに
脳からにじみ出続ける
美味しい味噌汁を一人でずっと飲んでる





(15)
水面に出たいのに眩しくて
必然に流されて水中の中を滑ってゆく
振り仰いでは息を吐きだし
叫んでも届かない
叫んでも届かない

(16)
変わらずここにずっとあって
いくらずけずけに刺し通されても
一瞬で元の形に戻っている
現実と乖離してるのに
握りつぶしたくなる

(17)
いるはずなのに
真っすぐに見ても見えない
見えているのに 不思議で虚しい
確かにあるのに
忘れたりしないのに
掴めない心の光

(18)
無くなる事にすら
なにも感じなくなってしまって
明日の事も知らないくせに
放心しながら歯を磨く事

(19)
美しくて触れたくなるけど不安で
あけすけに笑って見せてから
太陽を眩しそうに見上げる事





(20)
日がかげってゆく
さよならと呟くたびに
そうならないでと心が叫ぶから
中身のない会話の
後ろに輝く大きな意味

(21)
光に惑わされないように
目を細めて見るけれど
すでに立っているその場所が
光で埋め尽くされている罠

(22)
自分ですらも気づかない内に
無意識の視線の切れ端に光る
歩む歩幅の小さな揺らぎに光る
キラキラと散る、淡い綺麗な欠片


自由詩 題名なんでしょう Copyright ◇レキ 2017-10-21 20:37:10
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