再音
木立 悟




ひとしきり震えて
夢の端 ついえて
抜殻を
荒地を
喧騒はすぎてゆく


忘れられた瑪瑙
夜を率いて
ひとつだけ大きな
空のまるみを抱く



やわらかな星
銀のふくらみ



まちがいに気づいて
離したその手を
もう一度握り
冬は溶けゆく


春に微笑み
うすく 微笑み
手わたすように
はじまるように
目を閉じる



かたちを失くしたものたちの
鼓動だけがさざめいていて
その淡いふちどりから
元のかたちは再び生まれる
大きく そして小さな
水のような夜に満ちる









自由詩 再音 Copyright 木立 悟 2005-03-14 17:19:53
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