青春です。
そらの とこ

その水は空気みたいにさらさらとしていて
ボクの喉の渇きを潤さなかった
でもその水はボクには不可欠で
まるでキミのようだった

山の上の方から水は湧き出していた
キミは高いところからいつもボクを見下ろしていた
キミはいつもスカートかワンピースを着ていて
風がぴゅうっとそのスカートの裾を翻させていて
いちご柄のパンツはお馴染みでした

水って枯れることあるのかな
子供の頃大人の人に聞いたことがある
水は永遠じゃないんだ
ボクらの命みたいに
いつか
つきる

ある年は例年以上に雨が少なかった
川の水はいつもちろちろといった具合に流れていて
(そういつもはもっとどうどうと流れている)
魚達は息苦しそうに上流に留まっていた

キミが遠くへ行ってしまったのも
確か同じ年だったと思う

無性に水が恋しくなって
キミと二人きりで少しばかり枯れた川へ
キミの手を無理やり引っ張って
そしてボクはその川にかかった橋から
無理やり川に飛び降りた

キミはきょとんとしてばかりで
やっぱりパンツはいちご柄だった

そしてボクは潤いませんでした

キミがいなくなってボクは年を取った
あの時のキミのどうでも良さげに笑う顔は
今記憶の隅の方で薄ぼんやりと残っている

まるで空気みたいな水のように


自由詩 青春です。 Copyright そらの とこ 2017-10-11 03:35:22
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