ルキフェルとティンカーベル Ⅲ
犬絵

今はもう正直に告白してしまうが
私はあなたのようになりたかった
じぶんの思いが大切で
花火のようにことばをみんなにぶつける
本当の自分を押し込めることなく
イヤなことはイヤといい
うれしいときはおひさまみたいに笑う
そんなあなたを見ているだけで 幸せになれた
神様の愛よりも 
「一敗地にまみれたからといって、それがどうしたというのだ」
とうそぶく堕天使の意地が好きだったが
この世界にほんものの天使がいるのかもしれないと疑ったとき
天使に戻りたいと願ってしまった
あなたを知れば知るほど

だからあなたが あたしのこと好きになってくれないじゃないかと
魂を切る声で この世を去ろうとしたとき
失うことが怖かったので
一番綺麗な愛情をあなたにそそぎたかったが
ほんとうはそれ以上に
あなたにキスすれば
あなたに好きになってもらえれば
もう一度天使に戻れるのではないかと期待していた

そんなわけもなく
そんなわけも知らず
純な心しか言葉にかえられないくせに
あたし あなたのこと じぶんより好きだよ
青空よりもうつくしい言葉を 天使の声で
煙草のけむりを吐き出すような簡単さで
言ってくれるものだから
小学生のとき悔し泣きして以来かな
私は座り込んで泣いていたんだと思う


自由詩 ルキフェルとティンカーベル Ⅲ Copyright 犬絵 2017-10-07 09:09:14
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