世界に貢献するためには
あおい満月

 自分の親を(去っていった父親も含む)見ていて思う。あの人たちは、職業で、普通のサラリーマン、OL以外の職、例えば医者や、技術屋や、パイロットや、タクシードライバーや、介護職の方々や、そういう人たちをやたらと「頭が良い」とか、「器用だ」とか、ほめそやす。それを否定しているのではない。ただ、昭和の独特な考え方だ。と感じている。
「仕事に貴賎はない」と私のパートナーはよく言っている。同感だと私も思う。仕事とは「頭が良い」とか「器用」とかだけでやるものではない。医者になった人たちは、人の命を救うために必要な知識を得るために、大学や大学院に行くのだ。タクシードライバーや介護職だって、人のために必要だから運転免許二種を取る。頭が良いからこの職に就いたとか、器用だからこうなったとかそういう古臭い概念は、今の時代は通用しないのではないのだろうか。動物の世界だって、例えば鳥は空を自由に飛んでいるのではない。鳥として生まれ、生きるために空を飛ぶ。魚も同じ。魚として生まれたから、海で生きる。どの世界だって戦いなのだ。医者の世界だって、頭だけではやっていけない。実力がものをいう。地道に研究に研究をこつこつと重ねてきた人たちが、教授になったり、産業医になったり出世をする。その職に就いたからには、いかにそれに貢献できるのかが勝負だ。それはサラリーマンやOLの世界も同じである。会社に入るのが目的ではない。その会社にいかに貢献できるかなのだ。貢献できなければ、とりわけ今の時代は、契約満了(即ち解雇)になる。「サラリーマンは、気楽な稼業ときたもんだ」など、五十年前の化石化した概念だ。
そういう悠長な考え方をした人間(最近は若者。俗に言うチンピラ)がいたりするから、様々な不祥事が起こるのだ。政界や財界、医療の現場で相次ぐミス。私たち一般人は気が気ではない。だから強くなる。知識をつける。人が信用できないのであれば、自分が信用できる人間になるしかない。昔勤めていた会社で、上司に「人ばかり信用するな、自分の目で見て確かめよ」というアドバイスを貰ったことがある。もっともである。神頼みや、経文を唱えている時間があれば、今からでも行動することが大事である。実をなすこと。これこそが一番の信頼を得る秘訣である。私が書いている詩やエッセイも、人々の心に貢献するためなのだと信じている。だからそのためならば、どんな批判もいとわないつもりだ。


散文(批評随筆小説等) 世界に貢献するためには Copyright あおい満月 2017-09-29 02:43:16
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