小会議室
秋葉竹

(OSビル前 心象風景 1 )

わたしの髪の毛が
やさしく風に歌う、

聴こえるわけない
あなたはOSビル7階 まるで
灰色のひつぎにいる亡霊

あなたに逢えないと駄目だと
ピンヒールのピンを
魔法で伸ばすことにして

やっと、7階の
生真面目なあなたの顔を見つけて
ぐらぐらするピンのせいにして
自然に崩れた感じで
あなたにしなだれかかることにする

その愛しさは
わたしのいない今の
小会議室にはきっとないものでしょう?


(OSビル前 心象風景 2 )

ん?
たとえば副部長の
本田あかりさんとか、
違うよね?

お願い、彼女はやめてね
なんでもやってきたって噂だよ
えッ、それがいいとか いっちゃあ駄目だよ

ヤバッ、急がなければ駄目だッ
「泥棒猫め」と大上段から
バッサリ切って捨てなくちゃ

ピンヒールよ、そのピンよ。
早く伸びろよ、魔法がたりない?
恋するパワーが、まだたりない?


自由詩 小会議室 Copyright 秋葉竹 2017-09-24 09:01:21
notebook Home 戻る  過去 未来