着地のこと
はるな


出産する間ぎわから出産後の二年くらいはなんか、ずーっとつきまとってた生きるとは?とか意味?とか死へ向かうのこととかがどうでもよくなって、幸福な疲労感がばあばあ出てて、それでそのあとまただんだん目が覚めてきたという感じで、またぴたっとしたコンクリートに着地してしまった。ビルとかコンクリートとか噴水とか電車とかの世界。何度も着地するし着地はかならずぎたぎたにけがする。

四か月間の授業に通っている。花のあつかい方とか販売技術とか色のくみあわせについて教えてもらう。貼りパネに雑誌の一ページをはりつけてポップをつくったりする。どっかの庭の写真とアルファベットでできた文章…でっかいポピーが咲き乱れてる庭の写真。四谷とか浅草橋にある造花ばっかり売ってる店に行ってせっせと偽花を買って曲げたりきざんだりする。むすめにアニメーション・ビデオを許してさ。30分までね、とか言って。埃のないように三段階にわけてする床掃除、床よりうえを拭くための埃雑巾はオレンジ色、食卓や冷蔵庫の布巾は青。コンクリートもそうだけど、プラスチックだってわたしにやさしい。ガラスとかねじとかそういうものがまた懐かしくちかしい。



散文(批評随筆小説等) 着地のこと Copyright はるな 2017-09-13 17:43:13
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