過労
本田憲嵩

助けてください助けてください身体が辛いです身体が痛いですどうか助けてください彼ら
は本来の業務担当外の慣れないことを次々とわたしたちに押しつけます月二百時間にも及
ぶサービス残業をわたし達に押しつけますまるでみずからの成功哲学を押しつけるように
押しつけます彼らは東南アジアに学校を建てることがその償いだと本気で考えているよう
ですどうか助けてください


助けてください助けてください身体が壊れそうです身体が張り裂けそうです彼らはアリと
キリギリスのアリになれとよく言います苦しんだのはお前だけじゃないんだとよく言いま
す人のせいにしては絶対にいけないんだとしょっちゅう言いつづけます蓄えられるだけの
給料も与えられていない若者たちに対してはなんで貯金しないんだとよく言いますそして
自分の部下たちにビルの十階からいますぐ飛び降りてみせろと平然とよく言いますどれだ
けきつく叱っても大丈夫というのが彼らの信頼関係のパロメーターのようですどうか助け
てください


助けてください助けてください助けてください身体が辛いです身体が痛いですもうこれ以
上彼らの城を社会に造らせないでください彼らはどんなに無理なことでも鼻血をだして吐
血するまでやりつづければ必ずできるようになると信じ切っているようです彼らは老人介
護施設と私立学校をつぎつぎと設立してその領土をさらに拡大しようとしているようです
どうかどうか助けてください助けてくださいもうこれ以上わたし達と同じ目に遭う人たち
がいないように



自由詩 過労 Copyright 本田憲嵩 2017-08-26 19:06:02
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