田中修子

幸せになって
たいせつなお友だち

惜しみなくきれいなおいしい
飴をくちづけたい
そんなものまだ
わたしのなかに壊れきらず
のこっているならば

幸せとはなんだろうね
つらつらしていたら
山のあなたの空遠くにか
なんて逃げたくもなるが

そりゃ なんか ちがうだろ

なにも怖くない世界がふつうで
清らかよと澄ましこむ
喉を切り裂きたくなるような
かなしみを知らないですむ

わたしにも
あなたにも
それはもう
叶わないけれど

わたしのなかに
おいしくてきれいな飴が
まだ少しだけ
残って在るならば

あげるよ
この飴ぜんぶあげる
もらって
たといわたしが溶けてしまっても

あなたが
あなたの好きな人と
やがてうみいつくしむ
かなしみのない笑顔
世界の滋養



自由詩Copyright 田中修子 2017-08-25 09:38:40縦
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