お盆休み
◇レキ

行きたい場所があると思う

過去の感情を大切にしたい
空洞になったとしても
続いてゆく所作に美しさがある

真夏でもひやりと冷たい樹皮のような
さめた しなりとした摘み心地は
暖かくないからこそ
遠くまで続いている

遠くで誰かが呼んでいる声がする
暖かさのない甘い誘惑

零れた心を大切にしたくて
僕は所作に埋没しながら

もう去った人に
頼っていいですか、と尋ねている





にわか雨で生まれた風
涼しくなったはずなのに
風鈴は変わらず揺れている


雲はどこから雨なのだろう


拳を固く握ってみれば
ぽたりぽたりと生き血のうたが


崩れるように笑っていたい
やわやわと欠片がほどけ落ちる調子で



自由詩 お盆休み Copyright ◇レキ 2017-08-14 07:37:10
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