朝
Lucy
眠っていたのだ
死んでいたのだ
意識のはざまで
行方知れずになっていた
辛うじて煌めく記憶が
呼び戻そうと身を捩る
わたしの裏で
呼ばれているもう一人の
耳は 形を亡くし
地に落ちていた
それで別段 暮らすのに不便はなかった
とうに
眼
(
まなこ
)
も 洪水に流され
口も 焼け焦げ
言葉も
いらなかったのだ
裏返し 問い詰めて
掘りおこし 暴いて
切り刻んで 煮詰めて
抽出して 上澄みを貪り
その都度生き返るための行程としての
背中に
張り付いて生まれ
寄生したまま腐り
乾燥して粉末になり
飛散した
あれは羽だった?もう一人の
意識
忘れても生きていけると思ったとき
諦めていた再生が今こそ成就したのだろうか
睡魔のように
わたしを引きずり倒しながら
曖昧な凶暴な空虚な救済が
霞のかかった
朝
(
あした
)
のように
白々とわたしを迎える
自由詩
朝
Copyright
Lucy
2017-08-10 19:20:11
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