夏の陰
石田とわ



    頬を濡らすものを拭うこともせず
    ただ手放しであなたは泣く
    抱きしめても嗚咽はやむことなく
    わたしの肩が湿り気を帯びる
    体温の熱さが伝えてくるもの
    母ではないわたしには
    あなたの涙を止めることができない
    泣きじゃくるあなたの瞳に
    わたしの姿は映らず声すらも届かない
    あなたを抱きしめる腕と身体が
    あってよかったとこんな時に思う
    静まりつつある背中をさすりながら
    夏の日差しに陰をみる














自由詩 夏の陰 Copyright 石田とわ 2017-07-22 02:25:14
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