僕のレストラン
梅昆布茶

ぼくたちは知ってゆく
ありのままではいられないのかもしれないと

人生でたったいちど編んでもらったマフラー
誰もほんとうのレストランを知らない

バイク乗りであまり街歩きもしなかったし

ボーダーでたぶんきみの好きなワインレッドとグレー
毛糸がふとすぎてまったく実用にはならなかったが

生きることを忘れて時々生きている
誰もほんとうのレストランを知らない

何もない大地に
乾いた足跡を残せれば良いのかもしれない

天才や富裕な人々がいて僕はあまりもちあわせがなくて
でも66キログラムの質量と粗雑なメカニズムが組成だが

エアコンが不調なので
きょうを3台の扇風機でいきのびてゆく

世界が鏡で覆われていて
複製の思想が蔓延して

印刷文化の近代化に
まにあわなかった作品展を
いつか開催しようか

まだ世界は変わるが
それでも僕の不思議をたいせつに
老いてゆく

僕のレストランは知り合いのシェフでもなく
空っぽの間にまには空が晴れていること

きみのポケットにちいさな夢が入っていること
つまづいて迷っていたり桟橋をさがしている漂流物

誰も訪れないレストラン
きょうももつ煮を煮込んでいる

サーカスのふるい道化師はさってゆくけれど
誰もあたらしい空を知らないからさがしにゆく

きょうもあすも








自由詩 僕のレストラン Copyright 梅昆布茶 2017-07-20 09:46:17
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