GAS
木屋 亞万

暗闇のなかの白い砂
寄せる生ぬるい波
ぼんやりと砂の中からひかる

やってもやらなくてもよかった
いつかの課題たちが
ゆっくりと点滅している

千匹の子どもを度々生むならば
名前をつけたところで
もう会うことはない

心臓が体液の中で破れて
赤黒いバラが咲く
その花が枯れる頃に死ぬ

夕日が赤さを増しては
雲の腹を懐かしい朱に染める
回想を撒き散らした後の闇

自分の重さすら支えきれなくなって
今日も床に伏して眠る
なにものにもなれないまま

ごめんなさい
ありがとう
さよなら





自由詩 GAS Copyright 木屋 亞万 2017-07-01 23:03:01縦
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