水の城 
そらの珊瑚

さざなみが産まれるところ
透きとおりながら
かすかに揺れる城が
月明りを映している

とうめいであることは
ない、ことではないよ
ないことにするには
醒める必要がある


にじむ光は
溶けだした心に似ている
やがて広がってゆけば
哀しみもうすくなる

ひんやりとして
でも凍ることのない
水という流動体だけの意思で
形作られてゆく城は
何者も模倣しない丸みを帯びて

夢は
醒めてしまえば夢だったと知る
現実はいつ醒めるのだろう


自由詩 水の城  Copyright そらの珊瑚 2017-06-23 08:32:16縦
notebook Home 戻る