朝と夜
乱太郎



制御のない朝の起動
太陽はいつまでも膨らみ
乱雑な鳥の鳴き声に光は拡散していく
二つの皿の擦れる音が
寝ぼけ眼の時間を砕き割り
名のない闘牛を歓声の輪の中に運ぶ

朝はこうして夜を寝かしつける
恐ろしい夢は霧に包まれて
明かされることはない
埋もれてしまう秘密の黒の書
歴史はもうひとつの物語を封印してしまう
そして始まる
見えない針の不規則なふれがいつまでも

ここは
点滅を繰り返す交差点
朝と呼ばれる清潔感漂う新緑の世界と
不気味なもう一つの時間帯

躍動を忍ばせて夜は片目をちらかせる
月は隠れてはまた現れる
星の輝きは狂気の爆発と正気の安産
見えない力で織りなす
過去への憧憬と無理数の新陳代謝
柵のない草原で牛が吠える

夜はそして朝を妬むだろう
乳牛までも絞られて

朝と夜
二つの酔いどれが運命を照らして回り続ける


自由詩 朝と夜 Copyright 乱太郎 2017-06-09 20:25:40縦
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