なつみかんとおとな
田中修子

庭でとれた夏蜜柑
刃元で厚い皮に線を引く
ふくいく

薄皮はぐと
黄王がぎっしり

時間の結晶をたべる

からだに飾れなくても
どこにでもきれいな宝石がある

スーパーの帰り
見上げれば
敷き詰められた天青石の空
バロック真珠の雲たち

ちいさいとき
香水も宝石も
いらないで
シャボン玉吹けば
なんだかうれしかったのはなんでかな

いま、飾りつけないと
なんだか恥ずかしいようにおもうのは
なんでかな


自由詩 なつみかんとおとな Copyright 田中修子 2017-06-08 02:00:23縦
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