夕暮れの赤い川
Lucy


高架下に流れ込む
川は
いつも後ろ姿

追い越したくても余地はなく

一定の速度を保持し
行列を維持して
たどたどしく
けれど確実に
進んでいく


迷いながら
躊躇いながら
進んできた分
ラストスパートの余力が残る
もっと遠くへ
もう少し速く

焦る
急ぐ
あと少しだけ
ただ一度だけ
全速力で
疾走したい
エネルギー出しきって
離陸したい
どこかへ
まだ見たことも
聞いたこともない景色を
渡り

もどかしい夕暮れが
緩慢な死のように穏やかな顔で忍び寄る


ゴールではなく
スタート地点へ

滲みながらまばたき始める
テールランプのさざ波





自由詩 夕暮れの赤い川 Copyright Lucy 2017-05-30 12:11:40
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