慰安婦の強制性に関する会話 (2)
Giton

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 1対1で元慰安婦から話を聞くのが大きいんだと思います。記者会見とか公開法廷での証言ではダメです。頭脳で理解したことを心で感じとれる方ならよいのですが、多くの日本人はそうではないのでしょう。まぁ日本人全員に「直接対決」を体験させるのは無理でしょうから、徐々にしていかなきゃならないんですが、戦時生活記念館みたいなところに持ち込めれば、すごく大きいのですよ。たとえ内容は甘く薄められたとしてもです。


―――― なるほど、あの橋下徹氏がね。ところで、日本人慰安婦もいたはずなのですが、ほとんど話を聞かないですね。


 この問題の偉大な先駆者(と私は言いたいんですが)である千田夏光さんが扱ったのは日本人慰安婦です。名著『従軍慰安婦』はその聞き取り記録。ただ、日本人の場合は強制性が少なかったかもしれません。東京で国に対する「慰安婦訴訟」が起きた時に、千田さんから「ほんとうに人権侵害なのか?違法だと言えるのか?」と訊かれましたから。

 そう言える根拠を詳しくご説明したら、北朝鮮で出している資料集を持ってこられて、これはそちらで使ってほしいとおっしゃいました。それをソウルへ持って行って韓国の弁護士の会合で話をしたら、とても喜ばれました。


―――― 千田夏光さんのことだったんですね。僕も法的なことをぜんぜん抑えていないので、非常に興味深いです。


 インターネットの使い方に慣れていないもので、話に混乱があったらすみません。

 千田さんの話でしたね。千田さんは、強制性という方向ではあまり考えておられなかったと思います。60-70年代の段階で韓国にも行かれて、元慰安婦にも会っているんですが、千田さんがようやく見つけて会った元慰安婦は、

「あなたは私の話を無理に聞き出して、それで何をしてくれると言うのか」と難じたそうです。

 そう問い詰められて、けっきょく、千田さんは体験談を聞けませんでした。しかし、この体験から、心の痛みのようなものが、元慰安婦から千田さんに強く伝わったのだと思います。ですから、千田さんは強制性を考えていなかったからと言って、この問題に対する理解に不足があったとは、私は思いません。

 1991年に金学順さんが名乗り出るより前のことですが、私も一度だけ、支援の女性に伴われて韓国の田舎で元慰安婦の方のお話をうかがいました。本人にとっては(少なくとも当時は)思い出すだけでたいへんな苦痛なんです。何度も叫んだり、…いろいろあって、おいとました時には夜が明けていました。
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散文(批評随筆小説等) 慰安婦の強制性に関する会話 (2) Copyright Giton 2017-05-23 15:13:45
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