青空
吉岡ペペロ

幼いころぼくはぼくを肯定していた

青空は空が高かった

真っ青は高いということだった

ぼくがだれかの悲しみにならないように

まわりのひとを悲しみながら肯定していた

それがぼくがするぼくの肯定だった

青空は空が高かった

真っ青は高いということだった


写真屋のカバくんは

ぼくの友達が一家心中に巻き込まれて死んだことを同情していた

新聞でぼくはそれを知った

カバくんは前足がひとつない犬を飼っていた

撫でると背中が硬かった

元気な犬だった

死んだ友達はおとなしくて暗いやつだった

転校してきた台湾人の女の子と仲良くなった

うちに遊びにいったとき違う言葉を喋るおばあちゃんがいた

女の子とおでこの形が似ていた

担任の先生はいつもセーターを着ていた

緑やグレイや青色だった

ぼくは先生のことが好きだったけれど

先生はぼくのことをあまり好きではなかった


幼いころぼくはぼくを肯定していた

青空は空が高かった

真っ青は高いということだった

ぼくがだれかの悲しみにならないように

まわりのひとを悲しみながら肯定していた

それがぼくがするぼくの肯定だった

青空は空が高かった

真っ青は高いということだった




自由詩 青空 Copyright 吉岡ペペロ 2017-05-13 23:54:29
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