出勤
虹村 凌

花のベタつく黄色い匂い
近くを通る園児達の嬌声
若々しい陽光が薄い瞼を焼く
もう間に合わないかも知れない
いや完全に間に合わないだろうし
慌てたとことで汗で背中に張り付くシーツと
ハナクソに笑われる目くそで重い瞼は開かず
勢いの無いヌルいシャワーでションベンごと洗い流す
俺は何をしているんだろうと考える事も排水口へ流れていく
生きていると言うか仕事に行くのが面倒で君の痴態でもって頭を埋め尽くす
厭じゃないんだけど何だってこんな晴れた日に太陽の当たらない部屋で働かねばならんのだ
こう自転車をゆるりとこいで唐輪だとか海辺だとか山の温泉宿にでも出向いてゴロンと寝転がり
空の雲でも数えながら素数の度にキャッキャと笑ってそのまま眠っては起きてを繰り返しているだけでいいのに
電話が鳴ったよ
出るの厭だな


自由詩 出勤 Copyright 虹村 凌 2017-04-28 09:32:53
notebook Home