さいはて公園のベンチ
そらの珊瑚

きのうの猫のぬくもりや
おとついの雨のつめたさや

ずっと前
ぼくができたてだったころ
たくさんの小さな人が
かわるがわる座ってゆく
にぎやかさや

お腹の大きな女の人のついた
深いためいきの匂いや

これから海を渡ってゆく
青い蝶の
空気みたいな身軽さ

いつのまにか
ぼくを通り過ぎていった時間を
たどってみる
頁の折り目を
やわらかくのばしながら
ここへ続いている
一枚のものがたりを
たどってみる

誰も来なくなった公園は
ひかり、あふれて
ぼくは今
明るいささくれをこさえている



自由詩 さいはて公園のベンチ Copyright そらの珊瑚 2017-04-26 08:18:04縦
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