失われた回帰線
乱太郎



失われた回帰線(そこは闇となって届かず
赤ん坊の泣き声だけが今でも響き
菜の花が一面に咲いて揺れる高原の陽炎
詩となる前の無数の言葉の散らばりがあって
繋げることがままならない僕がいる
感情という無色の糸が
無意味に流れていくだけの夜の静寂
山の頂上から突き上げられたかのように
満月が浮かんできて僕を嘲笑う


自由詩 失われた回帰線 Copyright 乱太郎 2017-04-04 20:03:18
notebook Home 戻る