黒曜日に
るるりら

かれは、いま 叫んでいる
遠くを見ている人々にむかって
かつては 矢じりを誓う猿だった人々にむかって
現代という うつつに居る私にむかって

かれは ごみ捨て場で 半透明の袋にいれられたまま
すこしの気配が動いただけで、かれは怒る


「アンパン ぱーんち」


袋小路のせかいから異論のパンチを繰り出している
城郭もきずかれたこともあっただろう玩具に埋もれて
かれは あれからかれこれ二週間は叫び続けている

おそらく かれの顔は 赤い。
おなかがすいてないかを 聞きたがっている。
おなかなんてすいてない こどももいた。
おかしな猿だと言われた こどももいた。
かなしみと おかしみの間で多くの人が ほうけている

かれは、戦っている
かれのパンチが 矢じりのような私に当たり
わたしはアスファルトに立ちすくむ
突然 のっぺらぼうだった私の影が黒曜石になった

かすかに
虹色を帯びて脈をうっている





自由詩 黒曜日に Copyright るるりら 2017-04-03 12:07:08縦
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