インディアン・サマー
田中修子

きみが
ふるさとを
いとしく呼ぶ

あいづ と

づ、にアクセントをおいて

うかうか
夜行バスで
きてしまった
きみが歩いた町を
見たくなってさ

雪の白と温泉の湯気
ツララが青く澄み
地面に
したたって
水のあまい匂いが
たちこめていた

都心に近いわがやに帰り
かわりばえのなさに目をとじて
よくあさ洗濯のために
窓をあけたら

どっと
あのあまい匂いが

あいづ

のほうから
いっさいをのみこむ波みたいに
おしよせてきている

青いツララのなかには
梅や桃や桜のつぼみ
ねぼけたおさかな
光る風
金色のモンシロチョウが
しまいこまれて
今日の陽に
ぞくりと
うきたち
ほどけて

今日は、小さくとも
かならず


あいづ

からやってきたきみ
わたしの


自由詩 インディアン・サマー Copyright 田中修子 2017-02-17 21:25:54縦
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